犬の行動で気持ちを知る
犬は、人に言葉で気持を伝えることができません。普段のペットの行動をよく観察して、ペットの気持を理解してあげてください。
下記の犬の気持ちと仕草は、犬種や性格によって個体差があるので、あくまで参考程度にしてください。
◆うれしいとき・楽しいとき
- うれしいときは、耳を立て、しっぽを下向きに(自信のある犬は上向きに)速く大きくビュンビュン振ります。興奮が激しくなるほど、高い声で「ワンワン!」と鳴き、しっぽの振り方が大きく、速くなり、体全体で飛び跳ねたり、行ったり来たり走り回ったりします。
- 遊んでほしくて、頭を低く下げてお尻を上げ、前足を出したりからだを弾ませながらしっぽを振ります。
- 2本足で立ち上がり、前足をピョンピョンと飼い主に飛びつくような仕草をします。
- 舌をペロと出すのは笑顔で、満足しているときなどに出す表情です。しかし、舌を出してハアハアいっているときは、体温調節のためで、熱いか具合が悪い場合があるので注意してください。
- 仰向けになり、地面に背中をスリスリするのは、うれしい気持ちを表現しています。
- 予想外に嬉しいことが起きたとき、喜びの気持ちをコントロールするために、しっぽを振りながらあえて目をそらすことがあります。
◆愛情表現
- 口や手をペロペロと舐めるのは「大好き」「一緒にいて」という愛情表現です。また、子犬が母犬の口元をなめてエサをねだり、母犬は食べ物を吐き出して子犬に与えるという習性から、「お腹空いた」「ご飯頂戴」というときに口をペロペロ舐めてくることがあります。
◆遊んで欲しいとき・何かを要求しているとき
- 手をペロペロ舐めてくるときは、何かを要求しています。「遊んで欲しい」「お散歩に行きたい」「ほっとかないで」など、そのときの状況に応じて何をして欲しいのか考えてあげてください。
- 隣で仰向けになりお腹を見せるのは、構って欲しいときに注意を引こうとしている行為です。
- あごを乗せてくるときは、その人の関心を引こうとしています。この行動の時は、そのまま遊んであげると自分が飼い主よりも上だと勘違いするので、一端何か命令を聞かせましょう。
- 人や犬に近づいたり、離れたり、走り回るのは、その相手の関心を引いています。
- 飼い主に、鼻や顔をこすりつけてくるのも、構ってほしいときや遊んでほしいときです。
◆安心・リラックスしているとき
- 飼い主の側でくつろいでいたのに突然離れて、別の場所でまた寝始めてしまうのは、飼い主とに信頼関係があり、安心しているからです。
- お腹を見せて寝ているときは、完全に安心しています。
◆悲しいとき
- シッポをさげ、上目づかいで悲しそうな表情をします。鳴き声も「ク〜ンク〜ン」細い声で悲しそうに鳴きます。
◆服従の行為
- じっと低姿勢を保っているのは服従しているときです。
- 何かの最中に、仰向けになりお腹を見せてじっとしたときは「降参」のポーズです。
- 相手への服従を表す行為として、ペロペロ舐めてくることもあります。
◆支配的欲求行為
- 人が座ったり寝ている上にあごや前足を乗せるのは、「あなたは私のもの」「私の方が上位である」ということ示す態度です。この行為をしたときは、逆に人がペットに覆い被さるようにしましょう。
- マウンティング(乗りかかって腰をふる)行為も、「あなたは私のもの」「私の方が上位である」ことを確認するための行為です。人に対してのマウンティング行為はさせないようにしましょう。
◆怒っているとき
- しっぽはピンと立てて硬直し、毛を逆立て、眉間や鼻にしわ寄せて歯をむき出します。鳴き声は低く、「ウ〜ウ〜」とうなり声を出します。
- しっぽや体勢を低くし、耳や体の重心は後方にしながらも攻撃性を見せているときは、不安や恐怖を感じながら攻撃態勢をとっています。
- しっぽをピンと立てて小刻みに振ったり、ゆっくり上下に動かすときは相手を威嚇しています。
◆怖いとき
- しっぽを後足の間に巻き込み、這いつくばるように体を小さく丸めて震えたり、警戒しながら逃げたりします。
- 突然目の前に何かが現れたり、大きな音がしたりなど、怖いときや緊張したときに、足をあげたまま止まってしまうのは、すぐにそこから逃げられるように準備している体勢です。
◆緊張やストレスを感じたとき
- 体が硬くなったり震えたり、また、呼吸が荒くなったり乱れたり、目の緊張や充血などがあります。
- お留守番で置き去りにされたなどの飼い主に対する大きなストレスでの腹いせで、普段きちんとできていたのに、後先を考えずにトイレの粗相をすることがあります。しかし、飼い主が帰ってくると、怒られるという恐怖の仕草をします。
- 人間と同じように、ストレスから毛が抜けたり皮膚が荒れるということがあります。
- 犬の発汗するパッド(肉球)に冷や汗が出て、湿っぽくなります。
◆犬のカーミングシグナル(自分自身や相手を落ち着かせる行為)
- 犬は眠いときだけでなく、緊張したり落ち着かないとき、ストレスを感じたときにもあくびをします。
- 犬は、散歩の時など匂いで情報を得ようとします。初めての場所やもの、普段とは違う環境では特に、色々な情報を得るために、地面や床などの匂いを嗅ぎます。
- 相手を落ち着かせるために、「自分には敵意がない」と顔や体をそむけることがあります。
- 何かをストレスと感じ、自分や周囲を落ち着かせようとして舌を出すこともあります。
- 知らない犬や人に会ったときや、初めての場所などで、緊張をほぐすために体を掻くことがあります。
- ストレスを感じたり緊張したときに、「自分には敵意がない」と示すためや、自分の気持ちを落ち着かせようと体をブルブルっと振ることがあります。
◆様子を伺うとき
- 耳をピクっと動かして、耳に神経を集中させます。
- 人の声や音などを聞いて、理解しようと「なに?」「何の音?」と首をかしげます。
◆穴掘りのワケ
- 地面の穴蔵にいる獲物を捕らえたり(特にダックスなど)、捕らえた獲物を地面を掘って隠したり、という本来の習性があります。
- 寝るときに、地面を掘ってフカフカの寝床を造る習性もあります。
- 熱いときに、土を掘って冷たい地面で体を冷やします。
- 退屈しのぎや、掘ることが楽しくてしていることもあります。
- 植物の根など興味のある臭いがすると掘ることもあるようです。
◆犬同士での行為
- 情報(オス・メス、地位、好物など)を知るために、相手のお尻の匂いを嗅ぎます。
- 縄張りの確認やお気に入りの犬の情報を得るために、おしっこやウンコの臭いを嗅ぎ、自分のアピールをします。
- 仲の良い犬同士では、顔や耳などを嗅ぎます。
- 止まってじっと見ていたら、威嚇や攻撃の準備です。
- 飛びついたら、ボクの方が強いんだぞと上位を示す行為です。
◆しっぽの状態で犬の気持を知る
嬉しいときは右に振り、警戒するときは左に振るという、イタリアでの研究結果があるそうです。- 大きく素早く振る : 嬉しくて興奮している状態。
- 狭く小刻みに振る : 相手の気を引くとき、初めての人に挨拶するとき
- ゆっくりと振る : どうしようか迷っているとき
- 低い位置でゆっくりと振る : 不安なときやどうしようかと悩んでいるとき
- 腰としっぽを同時に振る : リーダーに対する敬意や服従を示すとき
- しっぽが高い位置で歩く : 自信満々のとき
- ピント水平につっぱている : 挑戦的なとき
- しっぽの位置が低い : 安心してリラックスしているとき
- ピント立て毛が逆立っている : 苛立っているとき、怒っているとき
- しっぽを足の間に挟み込む : 怖いとき
◆犬のお手は?
犬の祖先である狼は、群れで行動します。群れの中で、リーダーや自分よりも強い相手に対する服従の行為として、足の裏(肉球)をアズケたり示す行動があります。犬のしつけので「お手」をさせるのは、犬に人を自分よりも立場が上だと認めさせる意味があります。